研究課題/領域番号 |
16590291
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
人体病理学
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
中村 眞一 岩手医科大学, 医学部, 教授 (20107816)
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研究分担者 |
幅野 渉 岩手医科大学, 医学部, 助手 (50332979)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2005年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2004年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
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キーワード | Intestinal spirochetosis / Bracyspira aalborgi / Brachyspira pilosicoli / 細菌性大腸炎 / PCR / 人畜共通感染症 / 菌種同定 / Brachyspira aalborgi / intestinal spirochetosis / Brachyspira aaloborgi / 16s ribosomal DNA / NADH oxidase / 大腸生検 |
研究概要 |
ヒト腸管スピロヘータ症(IS)は世界的に見ると家族内あるいは部族内に広範に感染をみる開発途上国型感染様式と、AIDSや同性愛者などの免疫不全患者に発生する欧米型感染様式に分かれるが、我々が経験したわが国の岩手県を中心とする感染様式は開発途上国感染様式や欧米型感染様式とは異なった独特の感染様式と考える。すなわち老人で感染率は低く、免疫不全も全く観察されなかった。ISの臨床症状は明らかでなく、大腸全体にISを認めた一例では難治性下痢を訴え、除菌後下痢症状が消失したので、少なくとも大腸全体の感染は吸収障害による難治性下痢の原因になると思われる。また潰瘍性大腸炎と臨床診断が下された患者に広範なBrachyspira pilosicoli感染が見られた一症例が経験されたが、初発時の大腸生検にはISの像は無かった。潰瘍性大腸炎に偶然Brachyspira pilosicoliが感染したと思われる。しかしこの症例を含めISの感染経路は全く不明であり、早急に感染経路の解析を行う必要がある。 病理診断に関しては正常あるいは過形成病変、また軽度の潰瘍性大腸炎、低異型度腺腫にはIS感染が見られた。ISは電子顕微鏡で大腸表層上皮の絨毛間に菌体の一端を挿入して感染することが観察されるので、絨毛が壊れるか異常な形態をしていると感染が成立しないことが想像される。IS感染の際、大腸の局所ではなんら炎症反応が惹起されないのも、スピロヘータ側にとっては好都合であると考えられる。激しい炎症で表層細胞に障害が起これば絨毛構造も変化し、スピロヘータは感染の足場を失うことになる。 PCR解析では3名でプライマーによる増幅が無かった。菌の感染量、固定液、解析までの時間など複数のマイナス要素が重なったためと思われる。68名中65名(95.6%)でPCR増幅が陽性であり、B.aalborgi 51名(78.5%)、pilosicoli 9名(13.8%)で増幅が見られた。重複感染例は5名(7.7%)であった。重複感染症例ではaalborgiとpilosicoliの重複感染例であるのか、プライマーの問題であるのか現在検討中である。
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