研究課題
基盤研究(C)
マラリア原虫感染防御においては、自然免疫機構を担うNKT細胞群が重要な役割を果たしていることが広く知られるようになってきた。また、肝臓はこのNKT細胞群が局在する重要な免疫臓器であると言える。NKT細胞は感染初期防御を担うだけでなく、獲得免疫機構、特にTh1/Th2バランスを制御する機能を有することが明らかになり、免疫応答を制御するに重要な細胞であることも明らかになってきた。これらのNKT細胞の活性化には抗原提示能を有する肝MΦであるKupffer細胞の関与は報告されているが、樹状細胞(DC)の役割についてはほとんど報告が見られていない。DCの機能は免疫監視細胞、抗原情報運搬細胞、抗原提示細胞であるが、一方、Toll様受容体を通じて、細胞内シグナル伝達系を直接活性化できる。本研究では、ネズミマラリア原虫感染マウスのDCの性状と機能を解析すると共に、MΦ/DCが産生するアポトーシス抑制因子(AIM)を欠損するマウスを用い、マラリア感染におけるNKT細胞の活性化機能制御とDCの関係を明らかにし、新しい視点での感染防御機構だけでなく病態形成の機序について検討を加えた。本研究から、マラリア原虫感染により肝DCサブセットの性状、特に補助シグナル分子の発現とサイトカイン産生能が変動することが明らかとなった。すなわち、抗原提示能も持つmDCはNKT細胞の活性化と病態形成に関与すること、pDCはIFNα産生低下により免疫抑制状態の誘導に関与することが示唆された。MΦ/DCの機能の一部が障害されているAIM欠損マウスを用いた解析からは、NKT細胞と共に感染防御を担うγδT細胞が顕著に増加し、マラリア原虫の早期排除と病態形成の軽減に関与することが示された。マラリア原虫感染において、肝臓は原虫が侵入する最初の標的臓器であるが、赤血球型原虫による臓器傷害の場でもある。肝臓はNKT細胞やNK細胞が局在する臓器であり、これらの細胞群の制御に樹状細胞が深く関与していることが、本研究及び他の報告から明らかになりつつある。従って、マラリア感染における樹状細胞の動態を明らかにすることは、ワクチントライアルへの基礎的知見をもたらすものと考えられた。
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