研究課題/領域番号 |
16590351
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
寄生虫学(含衛生動物学)
|
研究機関 | 国立国際医療センター(研究所) |
研究代表者 |
河津 信一郎 国立国際医療センター(研究所), 適正技術開発・移転研究部適正技術開発研究室, 室長 (60312295)
|
研究分担者 |
狩野 繁之 国立国際医療センター(研究所), 適正技術開発・移転研究部, 部長 (60233912)
坪井 敬文 愛媛大学, 無細胞生命科学工学研究センター, 教授 (00188616)
|
研究期間 (年度) |
2004 – 2005
|
研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
|
配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2005年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2004年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
|
キーワード | 感染症 / マラリア / ストレス / レドックス / 逆遺伝 / 遺伝子改変原虫 / 蚊体内発育型 / レドクス |
研究概要 |
In vito環境において、マラリア原虫新規抗酸化タンパク、ペルオキシレドキシン(Prx)の欠損が原虫生理に与える影響を観察する目的で、2-Cys型Prx遺伝子を欠損するローデントマラリア原虫(Plasmodium.berghei, ANKA strain)を作製し、その表現型を観察した。ノックアウトコンストラクトの導入、薬剤マーカー(ピリメタミン)によるスクリーニング後に、限界希釈で得られたクローンについて2-Cys型Prx遺伝子座での相同組換えをSouthern blotで確認した。この時、マーカー遺伝子座で組換えをおこしピリメタミンに対する耐性のみを獲得した原虫クローンも、薬剤耐性コントロール(Prx WT)として選択した。原虫細胞でのPrx欠損はmRNAおよびタンパクレベルで確認した。Prx欠損原虫(Prx KO)をBALB/c、C57BL/6NおよびDBA/2Jに感染させて赤血球内発育型(赤内型)での増殖を観察した。その結果、Prx KOの赤内型増殖率は、いずれのマウス系統においても、親株(WT)およびPrx WTのそれらと同等であった。しかしながら、Prx KOでは生殖母体(ガメトサイト)の形成率がPrx WTに比して有意に低かった。一方、蚊(Anopheles stephensi)体内での発育についても、中腸壁でのオオシスト形成を比較したところ、Prx Koでは成熟オオシストの形成率がWT/Prx WTに比して有意に低かった。この結果、PrxKOでは唾液腺に集積するスポロゾイト数も有意に減少した(WT/Prx WTの1/10-1/20)。感染蚊唾液腺からスポロゾイトを調整し、ドースを変えてマウス尾静脈に接種し、赤血球内に出現してくる原虫を観察したところ、Prx KOではではマウスへの感染性が野生型原虫の約1/10に低下していた。Prx KOスポロゾイトをマウス尾静脈に接種し、その1時間後に肝臓を摘出して肝細胞内に侵入した原虫の数をWTでのそれと比較したところ、両者には有意な差が認められなかった。以上の成績から、Prx KOではガメトサイトの形成、スポロゾイトの形成、またそのマウスへの感染性、更には肝内型原虫の発育も阻害され、蚊から哺乳類への伝搬が著しく障害されることが示唆された。
|