研究概要 |
本研究は,抗酸菌の菌体や菌体成分による活性化シグナルにより誘導されるマクロファージ(Mφ)のcPLA_2のphagosome膜へのtranslocationとリン酸化による活性化現象に焦点を当て,そのメカニズムを解明しようとするものである。一連の検討により,(1)Mφの結核菌に対する抗菌活性はATPで増強されるが,この効果はcPLA_2阻害剤のa-TFMKでブロックされること,(2)Mφの細胞膜アラキドン酸のphagosome内局在結核菌へのtranslocationはa-TFMKで阻害されること,また共焦点レーザースキャン法による観察では,(3)マウス腹腔MφやRAW-MφにMycobacterium avium complex(MAC)菌を感染させた場合に,cPLA_2のphagosome内局在菌へのtranslocationが認められるが,この現象はATPを作用させることでup-regulateされること,(4)こうした現象は,その後のphaseでみられるMAC感染Mφのアポトーシスに先行して起こること,(5)cPLA_2α-GFP発現プラスミドで形質転換したCHO細胞あるいはCD36^+CHO細胞にMAC菌を感染させると,強毒菌と弱毒菌の別なく,12〜24時間でphagosome内局在MAC菌体へのcPLA_2α-GFPのtranslocationが強く認められることが明らかになった。現在は,cPLA_2α中のセリン残基のリン酸化がcPLA_2のtranslocationにどのような影響を及ぼすのかについて検討するために,S505A,S515A,S727Aの各変異体cPLA_2α-GFPを発現するプラスミドを調製するための検討を進めつつある。
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