研究課題
基盤研究(C)
食後高脂血症はレムナントリポ蛋白(レムナント)の蓄積を介する動脈硬化易発症病態として近年注目されている。本研究では、新規に開発された界面活性剤であるレムナントリポ蛋白コレステロール(RemL-C)試薬を用い、健常者、IIa型およびIIb型高脂血症患者においてレムナント測定、分析を試みた。さらに、本試薬の測定意義を明確にするために脂肪負荷試験を行い、強力な血清総コレステロール(TC)低下作用とともに血清中性脂肪(TG)低下効果も有するatorvastatinの食後高脂血症に対する効果も併せて検討した。血清コレステロール測定系において、レムナントを界面活性剤にて選択的に可溶化し、レムナントに含まれるエステル型コレステロールおよび遊離型コレステロールの合計をレムナントコレステロール(RemL-C)として測定した。IIa型高脂血症(n=3)、IIb型高脂血症(n=6)患者においてatorvastatin 10 mg/日、4週間投与前後で30g/m^2の脂肪負荷試験を行った。健常人(n=39)における空腹時血清の平均(3.4mg/dL)+2SD値6.2mg/dLをRemL-Cの正常上限値とすると、IIa型高脂血症においては平均5.4mg/dLと正常範囲内であったがIIb型高脂血症では平均12.7mg/dLと空腹時においても著しい高値を示した。IIa型高脂血症では脂肪負荷により、TG値は3時間後にピークを迎え、一方、RemL-C値は4時間後にピークを示した。IIa型高脂血症においてatorvastatinはTC値、RemL-C値を強力に低下させたがTG値への効果は弱く、TG値、RemL-C値のピークの位置にも影響を及ぼさなかった。IIb型高脂血症においてはTC値、TG値、RemL-C値全てを強力に低下させ、TG値のピークはatorvastatin投与前は脂肪負荷後4時間であったが、atorvastatin投与により負荷後3時間に促進された。ゲル濾過による検討では、RemL-C値のピークはいわゆるlarge VLDLの位置に存在し、アポB-48に富んでおり、カイロミクロンレムナントと考えられた。脂肪負荷試験において、本試薬がレムナント測定、特にアポB-48を含有する外因性レムナントの測定に有用であることが示された。また、atorvastatinの食後高脂血症改善機序として、外因性リポ蛋白代謝の改善が重要であることが明らかとなった。
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ページ: 2483-2498
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Molecular Medicine Vol.42 (臨時増刊号)
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Molecular Medicine Vol.42 臨時増刊号
医学のあゆみ(別冊 : 糖尿病・代謝症候群) (別冊)
ページ: 300-302
日本臨床 62 (Suppl.12)
ページ: 105-109
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