研究課題/領域番号 |
16590459
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
病態検査学
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
野村 昌弘 徳島大学, 総合科学部, 教授 (00243684)
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研究分担者 |
糸崎 秀夫 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 教授 (70354298)
西角 彰良 徳島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (60243698)
河野 智仁 徳島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (90403683)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2005年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2004年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | 超伝導量子干渉計 / 心臓磁界 / 磁界分布図 / current density map / 心臓活動電流 / 生体磁気システム |
研究概要 |
生体磁気計測は、液体ヘリウムを用いて絶対零度近くまで冷却が必要である磁気センサを用いてしか測定できず、臨床応用の妨げとなっている。今回、液体窒素を用いた超伝導量子干渉計を用いて心臓磁界を測定し、一心周期における心臓活動電流のvisualizationが可能かどうか検討した。 健常ボランティアについて、簡易磁気シールド室内で住友電工ハイテックス製32チャンネル高温超伝導量子干渉計を用いて、心臓磁界を測定した。各32誘導点について、心室脱分極相および心室再分極相の磁界分布図を作成した。さらに、隣接する2点の磁界勾配から各誘導点の電流ベクトルを求めた。前胸部の電流分布のスプライン補間を行い、current density mapを作成した。 32チャンネル心磁図波形では、QRS波およびT波は良好に記録できた。QRS開始10msecの時点の磁界分布では、心室中隔を右方に向かう初期QRSベクトルが検出された。QRS開始20msecでは、左下方に向かう左室脱分極によるベクトルを認めた。心室再分極相の磁界分布図を示す。左下方に向かう心室再分極ベクトルを認めた。心室脱分極および心室再分極相のcurrent density mapの検討では、心室脱分極相および心室脱分極相ともに、左方に大きい左室由来のcurrent densityと右方に小さい右室由来のcurrent densityがみられた。 本システムを用いた心臓磁界によるQRS波およびT波の磁界分布図から推定された心起電力は、従来の液体ヘリウムを用いた磁気センサにより得られたと心起電力の報告とほぼ一致した。さらに、心室脱分極相のcurrent density mapでは、心室中隔より左室と右室に分離した心起電力を検出できた。今回使用した磁界測定システムは、心臓活動電流を詳細に検出でき、臨床応用が期待される。 さらに、心磁図法を用いて、心電図法で捉えられない心筋梗塞症の梗塞ベクトルが検出可能かどうか、current density mapにより検討した。陳旧性下壁梗塞症例(梗塞群)および健常例(正常群)の心磁図を超伝導量子干渉計で記録した。前胸部36誘導点について、隣接する2点の磁界勾配から各誘導点の電流ベクトルを求めた。前胸部の電流分布のスプライン補間を行い、current density mapを作成して、心室脱分極相および心室再分極相における心起電力を推定した。正常群における心室脱分極(QRS開始後30-40msec)におけるcurrent density mapでは、1つのcurrent densityを認めた。しかし、梗塞群におけるcurrent density map(QRS開始後30-40msec)では、正常群と異なり複数のcurrent densityを認めた。梗塞群では、体表面電位図では複数のcurrent densityを認めない例においても4例で複数の電流源の存在が示唆された。心室再分極相においても、心電図法で検出されない虚血ベクトルを心磁図法のみに検出される症例がみられた。 以上のとおり、心電図法で検出されない梗塞および虚血ベクトルを心磁図法のみに検出でき、心磁図法の臨床的有用性が示唆された。
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