研究課題
基盤研究(C)
ポリアミンは、細胞増殖と深く関連している物質であり、腫瘍マーカーとしての応用の可能性が長年検討されてきたが、尿中総ポリアミンに関する限りその臨床的評価は低く、現状ではほとんど利用されていない。我々はHPLC法によるポリアミンの分画測定法を確立し、ヒトの尿中の微量ポリアミン成分N^1,N^<12>-diacetylspermine(DiAcSpm)が、癌の病態とよく相関する指標であることを見出した。我々はさらに、DiAcSpm特異抗体の調製に成功してELISA法を確立し、DiAcSpmを腫瘍マーカーとして確立すべく、その性能について検討を進めている。本研究においては、大腸癌、乳癌を中心に検討した結果、いずれについてもDiAcSpmの陽性率は既存マーカー(CEA, CA19-9,CA15-3)より高いことを明らかにした。特に大腸癌において、DiAcspmは早期大腸がんに対して60%の高い陽性検出率を示すことが明らかになった。これは、便潜血検査と匹敵する高い感度であり、注目すべき結果である。また、尿中DiAcSpmレベルは治療効果を反映して低下する一方、再発に伴って上昇する傾向があり、大腸癌の病勢をよく反映した変動を示すことも示唆された。我々はこのことに注目し、現在多数の大腸癌患者の長期にわたる経過観察を行なっている。さらに、手術前の尿中DiAcSpm値が基準値未満であった約25%の偽陰性の患者が1.5年以内に予後不良となるケースはきわめて少ない一方、手術前DiAcSpm値が基準値の3倍を超えていた患者の予後は有意に不良であることも見出された。これらの結果は、尿中DiAcSpmが、特に早期癌の診断に有用なマーカーであるだけでなく、治療効果の有効性や再発・転移の指標、患者の予後の指標としても有用な多能性の新規腫瘍マーカーとして臨床上大きな利用価値をもつことを示している。
すべて 2006 2005 2004 1998
すべて 雑誌論文 (21件) 産業財産権 (2件)
J. Bichem. 139
ページ: 315-322
10018846072
J. Biochem. 139
Clinical Cancer Research 11
ページ: 2986-2990
J. Biochem. 138
ページ: 479-484
臨床病理 53
ページ: 123-129
10015592478
日本臨牀 68
ページ: 756-758
Clin.Cancer Res. 11
J.Biochem. 138
10017347837
Nihon Rinsho (In Japanese) 68
40017200871
Clin.Cancer Res 11
Clinical Cancer Research (In press)
臨床病理 53・2
Medical Technology 32
ページ: 346-347
臨床病理 52
ページ: 321-32
10012953314
ページ: 332-33
10012953338
Medical Technology (In Japanese) 32
Rinsho Byori (In Japanese) 52
ページ: 321-327
ページ: 332-333
Rinsho Byori (In Japanese) 53