研究概要 |
硬骨魚類では,骨は固定された組織であり,ウロコの方が,Caの急激な変動により応答するとされていることに注目し,哺乳動物の骨芽細胞・破骨細胞の相互関係を検討するモデルとなりうるかについて検討した。通常ウロコ非被覆部では,骨芽細胞は底辺にのみ局在し,皮膚被覆部では,皮膚最内側からウロコに向かって供給されている像が得られた。破骨細胞は皮膚被覆部の側辺でのみ共存し,側方への過剰延長を抑制的に制御していることが明らかになった。また,創傷部位への破骨細胞の浸潤や,再生ウロコで破骨細胞による間隙の作成と同部位への骨芽細胞の侵入による活発な再生像が確認された。一方,側線管周囲に骨芽細胞・破骨細胞が集中し,側線神経周辺のウロコを極めて薄い状態に維持していることも見い出した。この側線管形態維持に関わる遺伝子としてハエの羽根に切り込みをいれる遺伝子として発見されたnotchに相同性のあるmRNAや,アポトーシス誘導シグナルやアポトーシスカスケードに関わる酵素をコードすると考えられるmRNA或いは逆にアポトーシス抑制因子のmRNAなどが得られた。哺乳類と異なり,遺伝子配列がかならずしもしられていないために,これらmRNAの全長を得て,配列決定を行うとともに蛋白として発現できるようサブクローニングを行った。また,VitK2を骨芽細胞に投与すると増殖が抑制されるとともに,骨形成マーカーであるosteocalcin, osteoprotegrin, NF-kB ligand(RANKL)などが強発現することから,従来言われているosteocalcinをGla化することで骨代謝に関与するばかりでなく直接的に,骨への分化を促進する作用のあることを明らかにし報告した。類似の作用はウロコにおいても認められた。
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