配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2006年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2005年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2004年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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研究概要 |
本研究は,市中の急性期病院(600床)と電子機器工場において,職業性ストレス理論に基づいた労働者参加型職場環境改善によるメンタルヘルスと行動への影響を検討した。 病院では介入群7病棟(166名)と対照群7病棟(140名)に,電子機器工場では,製造ラインを介入群6部署(47名)と対照群6部署(50名)に無作為に割り付けた。職場環境改善活動を現場で推進するファシリテータをトレーニングし,労働者自身が問題解決にあたる体制作りが企図された。介入群の労働者はファシリテータの補助を受け,自身の職場のストレス調査結果を基に,職場に即した改善のアクションプランを作成して実行した。 約1年間の介入期間中に多くの職場環境改善がなされ,報告会を通して良好事例が介入群問で共有された。病院における介入部署では,対照群に比較して看護師の離職が少ない傾向が観察されたが(それぞれ,14.5%,20.0%),統計学的有意差はなかった。電子機器工場では,労働者の精神的不健康(GHQ得点)が対照群において増悪していたが(p=.047),介入群において変化はなかった。仕事のパフォーマンス指標は対照群で低下(p=.040),介入群において増加しており,反復測定による1元配置分散分析では,仕事のパフォーマンスの変化に群と時間間で有意な交互作用が見られた(p=.048)。 参加型職場環境改善活動に対する受け入れは良好で,活動を有意義とする評価が得られた反面,時間的負担と改善活動初期におけるスタッフ・他部署の協力の取り付けが活動の障害として指摘された。研究方法論上は,短い追跡期間,指標の妥当性,比較対照が少ないことおよび労働者の部署間異動や同一職場内における対照設定による割付の制限,解析対象者の脱落等が限界として挙がった。 以上の介入の阻害要因および方法論上の限界を克服することにより,より明確な介入効果が期待されると思われた。
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