研究概要 |
X-STRのなかから17種(DXS101,DXS6789,DXS6800,DXS6803,DXS6807,DXS7132,DXS7133,DXS7423,DXS7424,DXS8377,DXS8378,DXS9895,DXS9898,DXS10011,HUMARA,HPRTB,GATA172D05)を選び、日本人集団における対立遺伝子の出現頻度と変異の調査を行った。17種のなかで最も高い多型性を示したSTRは、アリール17〜40までの36種が観察されたDXS10011で、Power of discriminationは0.933(男)と0.997(女)であった。親子鑑定肯定例についてX-STRのタイピングを行ったところDXS10011で2例に母子間で共有しないアリールが見られた。そこで、変異の詳細を明らかにするためDXS10011が存在するXq28近傍にあってDXS10011と連鎖しているとされるDXS7423、DXS8377とを併せたハプロタイプ解析を行った。DXS7423とDXS8377の2つのSTRは34種のハプロタイプに分類できた。これらのハプロタイプとDXS10011のアリールの解析から、2例のうちの1例で母親の2本のアリールのうちの一方のアリールの反復数が3回減少したと推定することができた。 現在、常染色体やY染色体上のSTRは蛍光標識をしたプライマーを用いて16種のSTRの同時検出が行われている。そこで、我々もX-STRのなかから同時検出が可能な6種のSTR(GATA172D05,DXS6789,DXS6807,DXS6803,DXS101,HPRTB)を選び、蛍光標識プライマーとしてTAMRAとJORで標識し、母-娘-父(肯定例)の同時検出を試みた。それぞれのバンドは両親と娘で一致していた。この結果、蛍光標識プライマーを用いたしたX-STRの同時検出システムの確立が可能であった。
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