配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2006年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2005年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2004年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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研究概要 |
1.我々は腸管粘膜T細胞(LPT)のT細胞受容体を介する刺激に対する低応答の要因として粘膜内CD25^<bright>CD4^+制御性T細胞の関与につき検討した.しかしながらLPTより制御性T細胞を除去しても抗CD3抗体で刺激後のLPTの総タイロシンリン酸化やLATのリン酸化の減弱は改善しなかった.このことはLPTのT細胞受容体を介する刺激に対する低応答が,より本質的なものであり,LPTにおいても末梢血T細胞と同様にその存在が明らかとなっている制御性T細胞によるものでないことが明らかにされた. 2.次にLPTにおけるT細胞受容体情報伝達系におけるダウンストリームの情報伝達系で重要と考えられたMAPK系を解析した.MAPK蛋白は末梢血T細胞(PBT),LPTとも同様に認められ,抗CD3抗体で刺激後も両者においてMAPKのリン酸化の増加が認められた.この結果からLPTのT細胞受容体を介する刺激後のアップストリームにシグナル分子のタイロシンリン酸化の減弱はMAPK系にはあまり影響せず,PLCγ1やPKCを介した系が重要である可能性が示唆された. 3.またT細胞受容体を介する刺激伝達系にはタイロシン脱リン酸化酵素が重要な役割を果たしていることからLPTにおけるSHP-1およびSHP-2の発現をPBTと比較した.SHP-2の発現量はPBTとLPTで差を認めなかったが,SHP-1は両者に発現するもLPTでは恒常的に僅かに分子量の少ない二つのバンドが検出された.LPTで特異的に認められたSHP-1が機能的にも変化しているとすればLPTの低応答性を説明する重要な鍵となる可能性もあり今後の検討が必要であると考えられた. 今回の検討ではLPTの抗原刺激における低応答性には粘膜内調節性T細胞の関与が否定的であることが明らかになったが,今後はLPTにて特異的に異常発現がみられるSHP-1蛋白を機能的面から検討していくこと,およびT細胞受容体刺激伝達系のダウンストリームとしてPLCγ1やPKCの系を解析していくが課題であると考えられた.
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