研究課題/領域番号 |
16590592
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
消化器内科学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
考藤 達哉 大阪大学, 医学系研究科・寄付講座助教授 (80372613)
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研究分担者 |
竹原 徹郎 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (70335355)
平松 直樹 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (30362700)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
2006年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2005年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2004年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | C型慢性肝炎 / 樹状細胞 / Toll様受容体 / ペグインターフェロンα / リバビリン / 制御性T細胞 / RIG-I / Th1 / Th2 / インターフェロンα |
研究概要 |
本研究課題ではC型慢性肝炎におけるミエロイド樹状細胞(MDC)と形質細胞様樹状細胞(PDC)の機能を解析し、病態や抗HCV治療における意義を明らかにすることを目的とした。 C型慢性肝炎患者においては非感染者と比較して、MDC、PDCは減少しており、サイトカイン産生能やT細胞、NK細胞活性化能も低下していた。またC型慢性肝炎患者ではMDCのTh1誘導能は低下していたが、PDCはIL-10産生性の制御性T細胞(Treg)を強く誘導した。PDCはTregの誘導を介して肝細胞障害の免疫反応を抑制し、肝病変の進展に抑制的に働いていることが示唆された。 次に、ペグIFNα/リバビリン併用療法施行例において、DCなどの免疫細胞頻度と機能を解析した。著効例では再燃例に比べて治療経過中のPDC頻度が高く、終了時以後のDC機能は良好であった。これはPDC数やDC機能の維持が、C型慢性肝炎患者におけるHCV排除に重要であることを示している。 樹状細胞にはウイルス感知系であるToll様受容体(TLR)、RIG-I、MDA-5が発現しており、I型IFNや炎症性サイトカインなどの発現を介して先天免疫、獲得免疫の効率的な活性化に関与している。C型慢性肝炎患者のMDCでは、非感染者と比較してTLR2、TLR4、RIG-Iの発現は増加しているが、TLR3、MDA-5の発現には差を認めなかった。PDCではTLR7、TLR8、TLR9の発現は両群で差を認めなかった。C型慢性肝炎患者MDCでは、各TLRやRIG-Iに対するアゴニスト刺激によるIFN-βやTNF-αなどの産生は非感染者に比べ低下しており、TLR/RIG-I下流に強い阻害機序が存在する可能性が示唆された。このシグナル阻害機序として、MDCでのMAPK系とNF-κB系の発現低下、TRIF、TRAF6の発現低下が示唆された。C型慢性肝炎MDCにおけるTLR/RIG-Iの機能低下は、DCがHCV感染を十分に感知できず、効果的に免疫系を活性化できない可能性を示している。 本研究によって、HCV排除の免疫反応を誘導するためにはMDCを、肝炎沈静化の免疫反応を誘導するためにはPDCを標的とする必要があることが明らかとなった。MDCにおけるTLR/RIG-Iシグナル伝達抑制の責任分子の解明、PDCにおけるTreg誘導機序の解明が、免疫制御法の確立には必要である。
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