研究概要 |
C型慢性肝炎における検討から,osteopontin promoter SNPsのうちnt-443は,肝炎の重症度を規定していることが判明した。そこで,nt-155およびnt-433のSNPsの遺伝子型が何れもhomozygoteのDNAを用いて転写活性を評価した。両SNPsの遺伝子型に関しては,日本人では3種類のhaplotype(1型[deletion,T],2型[deletion,C],3型[G,T])が存在する。そこで,各DNAをnt0〜-658まで増幅し,pGL3 Vectorにサブクローニング,HepG2細胞ないしTHP1細胞に導入した。HepG2細胞を用いた検討では,転写活性は2型が1型に比して約1.5倍と高度であり,nt-443はCよりTの活性が高度と考えられた。しかし,同細胞では3型の活性は1型の1/10以下であり,nt-155はdeletionに比してGの場合に活性が低値であった。一方,THP1細胞では1型は2型よりも活性が高度であったが,3型は同様に1型に比して活性が低値であった。従って,nt-443のSNPに関しては,細胞によってCとTの転写活性に差異が認められるが,nt-155のSNPは何れの細胞でもdeletionがGに比して活性は高度と考えられた。転写因子SRYはnt-155がdeletion,Gの何れの場合も結合するが,HFH-2はdeletionの場合にのみ結合する。従って,肝炎重症化にはnt-443のみならずnt-155のSNPも関与する可能性があり,SRYはY染色体でコードされることを考慮すると,後者のSNPの意義は性差も考慮して検討する必要があると考えられた。
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