研究概要 |
細胞間接合装置には4種類のものが知られている。アドヘレンス結合,タイト結合,ギャップ結合,デスモゾームである。しかし,これらがどのような順で発生するのかまた,互いにどのように調節しているか定かではない。平成16年17年度の研究は細胞間接合装置間で調節機構があるかどうかもを明らかにする為に行なった。その方法としてこの装置が胎生期からのどのように発達状況をみていく方法とまた各装置のノックアウトマウスを作成し,それ以外の装置の発達を検討する方法がある。我々は後者を選択しProf.Klausらの論文にあるコネキシン32ノックアウトマウスを使用することが可能となった。平成16年度は主にノックアウトマウスの作成とその実証にあてた。コネキシン32が本当にノックアウトされているかmRNAのレベルと蛋白レベルで検討した。mRNAでも確かにノックアウトされていることが判明し(データ未提示)その後これがコネキシン32のノックアウトマウスであることはコネキシン32の螢光抗体法で染色するとコネキシン32が蛋白として発現していないことで確認できた。平成17年度はコネキシン32ノックアウトマウスの胃粘膜,膵,肝臓をサンプリングし同様にC57BL/6の正常マウスの胃粘膜,膵,肝臓を取り出し対比することにした。次に電顕を行ない,両方のマウスにおいてアドヘレンス結合,タイト結合,ギャップ結合,デスモゾームの存在を確認することにした。その結果両者ともタイト結合,ギャップ結合,デスモゾームはきちんと存在が認められた。しかし,ギャップ結合はコネキシン32ノックアウトマウスでは存在しなかった。これらのことよりギャップ結合は細胞司接合装置の発達において他の装置の下流の位置にいるかまたは他の細胞間接合装置に対して影響を及ぼさないことが明らかとなった。
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