研究課題/領域番号 |
16590636
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
消化器内科学
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
稲垣 豊 東海大学, 医学部, 助教授 (80193548)
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研究分担者 |
池田 一雄 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (80275247)
渡辺 哲 東海大学, 医学部, 助教授 (10129744)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2005年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2004年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | 臓器線維症 / 肝線維化 / 遺伝子治療 / TGF-β / コラーゲン / 転写調節 / Transcriptional regulation |
研究概要 |
本研究は、線維化組織で増加するI型コラーゲンα2鎖遺伝子(COL1A2)のエンハンサー配列を用いてTGF-β/Smadシグナル抑制因子を線維化組織特異的に強制発現させることで、正常組織に対する悪影響を最小限に留めつつ、臓器線維症の分子制御を目指すものである。 1.組換え型アデノウイルスの作製 COL1A2エンハンサー(COL-E)によりCre組換え酵素を発現するアデノウイルスと、Creにより介在配列が除かれることでGFPを過剰発現するウイルスとを作製した。これら2種のウイルスをラット活性化星細胞に二重感染させ、共焦点レーザー顕微鏡観察によりほぼ100%の星細胞にGFPの発現を確認した。次に、CreによりTGF-β/Smadシグナル抑制因子YB-1を発現するアデノウイルスを作製し、COL-E/Creウイルスと一緒に活性化星細胞に感染させた。この際のYB-1の蛋白発現レベルはCAG発現ユニットを用いてCreを発現させた場合の80%と良好で、内因性COL1A2 mRNA発現レベルはコントロールウイルスを感染させた場合の50%に低下した。 2.COL1A2エンハンサーによるGFPの細胞種特異的発現 上記アデノウイルスを、マウスの尾静脈から混注し、正常肝ならびに四塩化炭素投与後の傷害肝組織におけるGFP発現を観察した。対照としてCAG発現ユニットを用いた場合には、正常肝ならびに四塩化炭素傷害肝のいずれにおいても肝実質細胞にGFPの広範な発現が確認された。これに対して、COL-EによるGFPの発現は、正常肝組織においては全くみられず、四塩化炭素投与後では主として壊死巣やその周囲の活性化星細胞、すなわちコラーゲン発現が亢進している細胞に選択的にその発現が確認された。この際、肝実質細胞や他臓器の細胞にGFPの発現はほとんど認められなかった。 3.COL1A2エンハンサーによる線維化抑制因子の強制発現 このCOL-Eを用いてYB-1を線維肝組織中の活性化星細胞に強制発現させた。四塩化炭素反復投与による肝線維症マウスに組換え型アデノウイルスを静注したところ、COL1A2プロモーターの活性化が有意に抑制され、組織学的にも肝線維化の進展が阻止された。
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