研究課題
基盤研究(C)
徐脈性不整脈に対する治療は、現在のところ一般的に体内式ペースメーカー移植術が行われている。しかしながらQOLや医療費、電池寿命などの問題点も存在する。そのため徐脈性不整脈に対する再生医療として、自動能を持つ心筋細胞の作成あるいは遺伝子導入によりその能力を獲得させることが試みられている。洞結節細胞が自動能を有しているのは、内向き整流カリウムチャンネルが欠如しさらに過分極誘発内向き電流チャンネルが存在していることにより、第4相拡張期脱分極が起こるためである。この過分極誘発内向き電流チャンネルは、HCN遺伝子ファミリーによって規定されており、このHCN遺伝子ファミリーのなかのHCN2およびHCN4遺伝子の抽出が必要である。われわれは老化モデルであるKlotho遺伝子変異マウスを用いて徐脈性不整脈の検討をおこなったところ、Klotho遺伝子が正常なpacemaker細胞機能に必要であることが判明した。われわれは、ヒト心臓cDNAからPCRを用いた手法により得られたHCN4全長配列を発現プラスミドpcDMA3.1に挿入した。全長配列を確認後、ヒト腎臓細胞を用いた蛋白発現確認をウェスタンブロット法にて行った。得られた遺伝子を用いた組換えアデノウイルスを作成するため、コスミドベクターpAxCAwtit2への組替えを行った。さらにわれわれは臨床的に、ヒト心臓内の洞結節細胞以外にも自動能を示す領域が深在することが、カテーテルアブレーションの手法により証明できており、自動能を有する細胞を心筋内に導入することによる徐脈性不整脈治療の可能性を示唆するものである。以上より、アデノウイルスベクターを作成しHCN4遺伝子の心筋細胞への導入を行うことにより、心筋を緩徐脱分極させるバイオペースメーカー細胞の作成の可能性がある。そのためには、in vivoでのより効率的な心筋への遺伝子導入法を検討し、その臨床応用の可能性を築くことが必要である。
すべて 2005 2004
すべて 雑誌論文 (13件)
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