研究課題/領域番号 |
16590713
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
循環器内科学
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
和泉 徹 北里大学, 医学部, 教授 (80143775)
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研究分担者 |
猪又 孝元 北里大学, 医学部, 講師 (20311954)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2005年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
2004年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 拡張型心筋症 / 自己免疫性心筋症 / Gi蛋白シグナル / エリスロポエチン / T細胞 / G蛋白シグナル阻害 / β遮断薬 |
研究概要 |
1)先ず、抑制性G蛋白(Gi)シグナル阻害による自己免疫性心筋炎/心筋症の修飾効果を検索した。交感神経β2受容体刺激は心筋炎の重要な修飾因子である。そこで、β1刺激に着目し、Gi蛋白の影響について調べた。〔方法〕自己免疫性心筋炎/心筋症(EAM)ラットを、Gi阻害薬(百日咳毒素:PTX)の投与時期により、ミオシン免疫導入期投与と効果期投与の2群に分けた。ラットを屠殺し、心筋病理、サイトカイン測定を行った。一方、心筋ミオシン特異的T細胞株(CTL)のトランスファー心筋炎惹起能を評価した。加えて、in vitroでPTX処理したCTL能も調べた。〔結果〕導入期PTX投与はEAMを悪化させた。逆に、効果期およびCTL移入時投与ではEAMを改善した。心筋組織中のサイトカインは、IFN-γが負の、IL-10は正の相関を示した。一方、CTLは、PTX処理により細胞増殖能に変化はなかったが、トランスファー心筋炎惹起能は有意に抑制された。〔コメント〕G蛋白シグナルは、自己免疫性心筋炎/心筋症を多様に修飾する。これは、β遮断薬治療に抵抗する拡張型心筋症の中に自己免疫性心筋症が存在することを暗示する。 2)次いで、造血系サイトカインであるエリスロポエチン(EPO)による自己免疫性心筋炎/心筋症の修飾効果を検索した。EPOには心筋の保護作用がある。そこで、心筋炎/心筋症に対する影響を検討した。〔方法〕EAMモデルにEPOを連日投与し、同様に導入期と効果期で、心筋病理、サイトカイン・ケモカインを調べた。〔結果〕EPOは全経過投与においてEAMを軽減した。しかし、EPOは効果期投与では心筋炎抑制を示さなかった。また、CTLの増殖抑制もみられなかった。〔コメント〕EPOは心筋組織中のサイトカインやケモカインの減少を通じてEAMを抑制する。EAM導入期に抑制するか、効果発現までに相当の時間を要するものと考えられる。これは自己免疫性心筋炎/心筋症が内因性液性因子の影響を受けていることを示す。 即ち、この二つの新知見から、自己免疫性心筋症の臨床診断には、1)Gi蛋白などβ受容体の修飾効果、2)エリスロポエチンなど内因性液性因子の修飾効果、を留意する必要があることが明らかとなった。
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