研究概要 |
1,超硬合金肺(HMLD) 1,検体採取: 職歴からHMLDが疑われる症例に、肺生検を行った。また他施設でHMLDが疑われ肺生検が行われた症例のうち、当施設に元素分析を依頼された症例も対象に加えた。 2,波長分散型X線マイクロアナライザー(EPMA)解析 (1)生検肺組織中にW(タングステン)が証明されれば、HMLDと診断した。HMLDと診断された症例は20例であるが、このうち外科的肺生検で検体を採取された17例を次の解析に回した。 (2)Wは、主にHMLDにみられる線維化巣内および血管細気管支周囲に存在していた。 (3)画像解析ソフトを用いてEPMAデータの陽性ピクセル数をカウントすることにより、各元素の半定量化を試みた。今後は各ピクセル内の元素量に重みをつけて半定量化を行う予定である。 3,免疫組織化学 (1)HMLDの肺組織の免疫染色では、本疾患の発症にCD163とCD8陽性細胞の関与が疑われた。 (2)Wが存在しない肺間質にも主にCD8陽性細胞が分布しており、肺病変への関与が疑われた。 4,研究報告 これらの結果は米国胸部疾患学会(ATS)誌に報告した(in press)。また、EPMAによる元素量の半定量化研究は、2007年ATS年次総会(サンフランシスコ)の発表に応募したところ、ポスターディスカッションに受理された。 II,特発性肺線維症(IPF) 1,検体採取;当施設で外科的肺生検を行い組織学的にusual interstitial pneumoniaと診断された症例と、IPFの診断で経過観察中、呼吸不全で死亡した症例の剖検肺組織を対象にした。 2,各沈着元素とIPF発症の関係をみるため、HMLD検体と同様にEPMAデータの陽性ピクセル数をカウントすることにより、各元素の半定量化を試みる予定である。
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