研究概要 |
1)低酸素環境下でのNO, PGI2アナログのヒト肺動脈平滑筋細胞(HPASMC)の増殖抑制効果を検討した。HPASMCをNO, PGI2アナログ存在/非存在下24時間培養して後、BrdUの取り込み、フローサイトメーターによる細胞周期の検討、LightCyclerによるreal-time RT-PCR、および、ウエスタンブロット法によるp21,p27,p53 mRNAと蛋白発現をノルモキシア下、2%低酸素下でそれぞれ検索した。結果はNO, PGI2アナログすべてBrdU取り込みを抑制し、G0/1期で細胞周期が停止した。2%低酸素下NOドナーはp21 mRNAの誘導、p21,p53蛋白の発現亢進を、PGI2アナログはp27蛋白発現を有意に増強した。 2)p53ノックアウトマウスを低酸素暴露室で8週間飼育して肺小動脈肥厚程度を同様条件下で飼育した野生型マウスのそれと比較検討した。結果はp53ノックアウトマウスの肺小動脈肥厚度がより大であった。 以上の結果は、低酸素による細胞増殖機序にはCDKインヒビターのp53、p21、p27の活性抑制が関与していることと、NO, PGI2アナログはそれを是正する作用があることを示唆する。
|