研究課題
基盤研究(C)
肺癌治療に広く使用されているが、実験動物では強い発癌性が知られているシスプラチンによる誘発A/Jマウス発癌モデル(二次発癌モデル)とタバコ特異的ニトロサミン誘発発癌モデル(NNK:一発癌モデル)を利用し、肺腫瘍の性状を免疫組織染色(activated AKT : pAkt, activated MAPK : pMAPK)とrasの点突然変異を検討した。肺の腫瘍組織は1)atypical adenomatous hyperplasia (AAH),2)adenocarcinomaに分類された。pAktはNNK誘発腫瘍の49/63(77.8%)、シスプラチン誘発腫瘍の69/89(77.5%)に発現していた。pAktはAAHは両群(NNK:83.3% vs cisplatin 90.9%)に発現していた。pMAPKは(NNK:79.4% vs cisplatin:45.5%)有意にNNK誘発腫瘍で発現していた(P<0.001)。AKTの活性化は両群で早期に強く発現しているが、MAPK活性化はNNK群でシスプラチン群より発現していた。NNK誘発腫瘍はPapillary type 4腫瘍、Solid type 10腫瘍(計14腫瘍 平均径0.57mm:範囲0.35-2.31)、Cisplatin誘発腫瘍Papillary type 3腫瘍、Solid type 25腫瘍(計25腫瘍平均径0.928mm:範囲0.86-1.66)を認め、各群0.85mmより大きい腫瘍を解析した。Rasの変異はマウス肺腫瘍からマイクロキャプチャダイセクション法により腫瘍を摘出しcodons12,13,61の直接シークエンス法で解析した。NNK誘発腫瘍ではcodon 12に10/14(71.4%)点突然変異を認めたが、シスプラチン誘発腫瘍ではcodon 12では変異を認めず,codon 13で1(5.3%)腫瘍、codon 61で3腫瘍(15.8%)で変異が認められた。シスプラチン誘発腫瘍ではNNKやウレタンで認められた強い特異的rasの点突然変異は認められていないものの,K-ras codon 61における点突然変異と緩やかな関係が示唆された。
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