研究概要 |
3週齢のHomo♀マウスに対して8Gy照射後wild♂マウスの骨髄を1×10^7個移植した.このことにより予後が83±4日から120±17日まで改善するのを確認した.移植後マウスでは,腎組織での糸球体・間質の線維化の進行抑制が明らかに見られ,scoringでも有意に改善しているのを確認した.また,BUNやCrも移植後マウスでは有意に改善していた. FISH法で同定できているのであるが,驚いたことに、COL4A3遺伝子の発現は蛋白レベルでは確認できないのである.すなわち,IV型コラーゲンα3,4の免疫染色は陰性であり,ウエスタンブロット法にても腎臓内で移植後マウスにおいてIV型コラーゲンα3の発現は認められなかった.ところが,Kalluriら(J Clin Invset 1997)が提唱しているproteolytic attackの理論に関与していると考えられているメディエーターの1つであるMMP-2,14はreal-time PCRにて骨髄移植マウスでは無治療のhomoマウスと比べて発現の亢進が抑えられているのを確認している.免疫沈降を含めたウエスタンブロット法で蛋白レベルでのCOL4A3遺伝子の発現は確認できていないが,ごく微量のCOL4A3遺伝子の発現がこの疾患の病態改善に寄与している可能性は高いと推測される.そのため,現在さらなる機序を解明中である. レトロウイルスベクターの構築はできているが,先ほど述べたように,明らかなCOL4A3遺伝子の発現は蛋白レベルでは確認できなかったため,COL4A3遺伝子のC末端にC-myc tagをつけた組み換え型cDNAを制限酵素で切断してライゲーションにより作成して組み換え型レトロウイルスベクターも作成中である.このことにより免疫沈降をより容易にするねらいがある.また,レトロウイルスベクターの感染効率が悪く,COL4A3遺伝子の過剰発現がうまくできない場合も考慮して,COL4A3transgenic mouseも構築中である.
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