研究概要 |
(1)二次性副甲状腺機能亢進症の発症におけるFGF23の役割 線維芽細胞増殖因子23(FGF23)は,腎臓に働きリン利尿を引き起こすとともに,活性型ビタミンD(1,25D)の産生を抑制し,生体のリンバランスの維持に大きな役割を果たしている.腎機能の低下にともなってFGF23濃度の上昇がみられ,途中まで腎臓のリン再吸収閾値と正の相関,1,25D濃度と負の相関関係が見られたが,腎機能が30%を切ると関係は消失した.正常なネフロン数が減少すると,リンの排泄促進も充分に行われず,1,25D濃度も低下するため,二次性副甲状腺機能亢進症の原因になっていると考えられた.透析患者においては,FGF23濃度のさらに著明な上昇が見られ,将来内科的治療に抵抗する重症の二次性副甲状腺機能亢進症発症の最も良い予測因子になることが判明した, (2)無形成骨の発症における尿毒物質の作用機序 腎不全では骨のPTHに対する抵抗性の本態を解明するために,モデルラットを作製して解析したところ,腎機能低下の程度に応じて,PTHに対する骨芽細胞の反応が低下していた.これらの異常は,血中のインドキシル硫酸の濃度に比例していたため,培養骨芽細胞を用いた検討を行い,インドキシル硫酸が,有機酸トランスポーターを介して骨芽細胞内に入り,PTH受容体低下,PTH反応性cAMP産生低下,および酸化ストレスを生ずることを明らかにした. (3)新規PTH分子に関する研究 われわれは,intact PTHで測定した値が,むしろwholeやbio-intact PTHで測定した値より,低い症例を見いだし,その血清と摘出副甲状腺抽出液をHPLC法で分析したところ,intactPTHアッセイでは,その認識部位が修飾されているため認識できないが,新世代のアッセイでは認識できない1-84PTH分子が存在することが証明された.
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