研究概要 |
1.非放射性in situ hybridization法 III, IV, V, VI型コラーゲン・フィブロネクチンなどのECM蛋白、それらの分解酵素であるMMP-1,2,3,8,9、MMPの活性を阻害する酵素であるTIMP-1,2および細胞から分泌された不活性型のMMPを活性型のMMPに変換する膜型MMP(MMP-14)、さらにTGF-βおよびCTGFのoligonucleotide probeを用いて非放射性標識法によるin situ hybridization法を行った。 ECM蛋白のmRNAの発現は、正常腎組織に比較し糖尿病性腎症腎組織で強く認められる傾向があった。一方、MMPおよびTIMPのmRNAの発現は、糖尿病性腎症腎組織に比較し正常腎組織で強く認められる傾向があった。 2.各種抗体を用いた免疫組織染色法 蛋白レベルでの観察を行うため、購入可能なECM蛋白、MMPなどの各抗体を用いて、糖尿病性腎症腎組織に免疫組織染色法を行った。 ECM蛋白の抗体陽性所見は、正常腎組織に比較し糖尿病性腎症腎組織で強く認められた。一方、MMP-2の抗体陽性所見は糖尿病性腎症腎組織に比較し正常腎組織で増強する傾向を認めた。 3.非放射性in situ hybridization法の評価 各プローブのmRNAの発現の程度を定量化するため、それぞれの糸球体での総細胞数を数え、次に各種mRNAの陽性細胞数を数えて、総細胞数に対する陽性細胞数の百分率として評価した。 4.各種抗体を用いた免疫組織染色法の評価 各抗体の発現の程度を定量化するため、自動画像解析装置を用いて各抗体での糸球体全体の面積に対する陽性領域の割合を百分率で求めた。 5.3と4の結果を合わせ、mRNAレベルと蛋白レベルでの相違を検討 ECM蛋白、MMP、TIMPのmRNAの発現の程度と蛋白レベルでの発現は、正相関した。
|