研究課題
基盤研究(C)
BMPの糸球体発生および糸球体障害時における役割を検討する目的で、BMPの内因性の阻害蛋白質であるnogginをのpodocyte特異的発現マウス(Neph-Nog Tg)さらにpodocyte特異的なBMP4過剰発現マウス(Neph-Bmp4 Tg)を作成し検討したところ、これらのTgにおいては糸球体血管係蹄の発生異常が確認された。特にNeph-Nog TgはNeph-Vegf Tgと類似した糸球体血管係蹄の虚脱を示し、またpodocyte specific Vegf KOはNeph-Bmp4 Tgと同様、糸球体血管係蹄の形成不全を示す。このことから、podocyteに発現するVEGFとBMP4は糸球体血管係蹄発生の発生に対して拮抗作用を有する可能性が示唆された。実際にBMPのシグナル伝達分子であるP-Smadの局在を調べたところ、P-Smadはpodocyteではなく、メサンギウム細胞あるいは内皮細胞に強く認められ、podocyteに発現するBMP4はparacrine factorとして糸球体血管係蹄前駆細胞に作用し、その発生調節を行っていることが示唆された。またNeph-Nog Tgでは尿細管populationが消失し、またP-Smadは成長段階の尿細管細胞にも強く認められることから、BMPは尿細管にも直接作用し、その成長の支持に重要な役割を担うことも明らかとなった。Neph-Nog Tgでは生後2ヶ月biopsyの結果ほぼ正常腎構造を呈する群も存在するが、生後約10ヶ月経過するとほとんどのTgにおいて糖尿病性腎症類似のメサンギウム基質の拡大が観察される。培養メサンギウム細胞を用いた検討では、BMPはTGF-βによって増加するfibronectinの蓄積を有意に抑制することがわかった。これらの成績から糸球体上皮細胞に発現するBMPは糸球体の血管係蹄の発生とメサンギウム基質代謝の調節に必須な役割を担うことが示唆された。
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J Am Soc Nephrol (in press)
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