研究概要 |
<パーキンソン病脳Lewy小体,細胞内封入体モデルにおけるp62の関与> Lewy小体(LB)の構成成分や,封入体形成過程の解析を行う事は,パーキンソン病(PD)の発症メカニズムを解明する上で有用な戦略である.我々は,MG132処理PC12細胞による実験的封入体モデルを用い,p62および他の関連分子の,封入体形成過程への関与を検討した.p62はPD脳におけるLBおよび実験的細胞内封入体の構成成分として認められ,ユビキチンと結合していた.プロテアソーム阻害下でのp62増加は転写レベルでの発現量増加によるものであり,転写抑制剤の投与あるいはp62に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドによりp62の増加,封入体形成の両者が抑制された.封入体形成が抑制された細胞は脆弱性を示した.p62は封入体形成に積極的に関わり,細胞死抑制に働くと考えられた. <パーキンソン病治療薬deprenylによるp62の転写誘導> これまで,MG132処理PC12細胞による実験的封入体モデルやパーキンソン病脳レビー小体においてp62が構成成分の一つであることを報告してきた.また,p62は封入体形成に積極的に関わり,細胞死抑制に働く可能性が考えられ,治療応用への可能性についても言及してきた.今回,神経細胞保護効果が期待されているパーキンソン病治療薬deprenyk投与により,PI3K-Nrf2システムを介してp62や他の抗酸化蛋白群の発現が誘導されることを明らかにした.これにより,神経細胞保護薬の新しい作用機序が存在することを示した. <実験的細胞内封入体モデルにおける凝集体形成促進因子の検討> MG132処理PC12細胞による実験的封入体モデル(p62,αシヌクレイン,ユビキチン,チュブリンなどが陽性)を用い,封入体形成促進因子の関与を検討した.その結果,L-ドーパ,ドパミンは細胞内凝集を促進する作用があること <p62欠失細胞を用いた細胞内凝集体メカニズムの解析 投稿準備中> p62を欠いた細胞を用い,プロテアソーム阻害下およびαシヌクレイン過剰発現による凝集体形成への影響を検討した.
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