研究課題
基盤研究(C)
新規に作出した家族性アルツハイマー病モデル動物であるV642I-APP変異ノックインマウス(EurJNeurosci.19:2826、2004)は、26-28ヵ月齢においてア病特異的とされる脳内β一アミロイド(Aβ)の変化すなわちAβ1-42/1-40比の上昇を示し、また記憶学習能力に関する行動試験成績の有意な低下を示すが、組織学的に顕著な老人斑形成は伴わず、また明らかな神経原線維変化や神経細胞脱落も認めなかった。加齢V642I-APPヘテロ変異マウス脳はヒトにおけるア病の最初期発症機序を反映している可能性があり、その一端を発現遺伝子の量的ないし質的変化の検出により解明するため、変異群/対照群それぞれの29ヶ月齢マウス大脳を試料として、ディファレンシャル・ディスプレイ(DD)法およびcDNA representational difference analysis(cDNA-RDA)法による差次的発現解析を実施した。DD法では、ヘテロ変異型および野生型マウス各5匹からなるプール化試料を雄雌ごとに比較したところ、検出された207種の増幅産物中18種に差異がみられ、うち3種について半定量的PCR解析およびNorthern解析によりV642I-APPヘテロ変異依存的な差次的発現が確認された。一方cDNA-RDA解析では、同様のプール化試料による解析にて検出されたヘテロ変異群優位な候補遺伝子のうち、6種についてリアルタイムPCRによる定量的比較により差次的発現傾向が認められた。これらについて、独立した2組の同腹由来29ヶ月齢ヘテロ変異マウスおよび野生型対照マウス大脳における発現を検討したところ、特に皮質においてそれらの差次的発現傾向が顕著であった。
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