研究課題/領域番号 |
16590854
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
神経内科学
|
研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
楠 進 近畿大学, 医学部, 教授 (90195438)
|
研究分担者 |
三井 良之 近畿大学, 医学部, 助教授 (40268389)
|
研究期間 (年度) |
2004 – 2005
|
研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
|
配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2005年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2004年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
|
キーワード | 免疫性神経疾患 / ガングリオシド / リン脂質 / シアル酸 / 自己免疫 / Guillain-Barre症候群 / Miller Fisher症候群 / 糖脂質 / Fisher症候群 |
研究概要 |
Guillain-Barre症候群(GBS)などの免疫性神経疾患では抗ガングリオシド抗体がしばしば上昇する。しかし神経細胞膜上ではガングリオシドはリン脂質や他のガングリオシドと共に存在する。本研究では、ガングリオシドとリン脂質の混合抗原あるいは複数のガングリオシドからなる複合抗原に対する血中抗体について検討した。GBSにみられる抗GM1 IgG抗体の活性はGM1単独よりもphosphatidic acid(PA)などの酸性リン脂質を加えた場合反応が増強するが、GBSの亜型であるMiller Fisher症候群(MFS)にみられる抗GQ1b IgG抗体ではこのような増強効果はみられない。この増強効果は、GM1抗体産生を誘導する先行感染の際に、ガングリオシドと共にリン脂質が免疫システムに同時に認識されるためである可能性を検証するため、GM1とPAを混合してウサギに接種したが、GM1とPAの混合抗原に強く反応する抗体産生はみられなかった。一方、抗GD1b抗体についての検討から、増強効果の有無は抗体の認識するエピトープのもつ電荷の強さによって決まることがわかった。さらに、GBSでは単独のガングリオシドではなく二種類のガングリオシドの糖鎖からなる新たなエピトープ(ガングリオシド複合体)を認識するIgG抗体が存在することもわかった。GM1とGD1aの複合体をはじめとして各種の組み合わせに対する抗体が症例ごとにみられるが、症例数を増やして網羅的に検討したところ、GD1aとGD1bおよびGD1bとGT1bの複合抗原を認識する抗体が、人工呼吸器を使用するなどの重症のGBSと有意に相関することがわかった。また、MFS血清についての検討から、GQ1bとGM1あるいはGQ1bとGD1aなどの複合体に特異性をもつ抗体がしばしば認められることがわかった。一方MFSの類縁疾患のBickerstaff型脳幹脳炎にはこのような複合抗原に対する抗体の陽性頻度は低い。今後これらの抗複合体抗体の病因的意義を詳細に検討する必要がある。
|