研究概要 |
3種類のプリオン蛋白構成部分ペプチド(PrP101-130,141-170,171-200)のマウス体内動態を検討し、PrP101-130が最もプロテアーゼK抵抗性を示す凝集性蛋白として、脾臓へ蓄積することを解明した。更に、PrP101-130とその他の脳内異常凝集性蛋白であるA-beta42,Stefan B蛋白とのアミノ酸残基相同性を比較することで、ヒスチジン(PrP111),バリン(PrP120),グリシン(PrP131)が、PrPの異常凝集性に関与する鍵となるアミノ酸残基であることを示唆した。次に、PrP同様A-beta蛋白は、モルテングロビュールと考えられ、A-beta42をモデルとして、その凝集性に影響を与える蛋白環境因を検討したところ、水素イオン濃度(pH4.6),金属イオン(Cu2+,Zn2+)の関与が明らかになった。これらの研究成果に基づき、マウス由来培養神経細胞(N2a)を対象として、PrP breaker peptidesの検索を行った。即ち、PrP(101-130)添加培養後N2a細胞内でのPK抵抗性蛋白に対するPrP breaker peptidesを検索する目的で10残基より構成されるPrP101-109,PrP103-112,PrP115-124,PrP115-124,PrP128-PrP137の5種類のペプチドを添加し、PK処理後、残存するPK抵抗性蛋白量の変化をCell Western Dot Blotにて検討したが著しい変化は認められなかった。 次に、培養グリア細胞を用いた系でも同様の検討を行ったが、著しい変化は認められなかった。 今後、breaker peptidesに関しては、更にアミノ酸残鎖数をはじめ、PrP101-130内の他のペプチド作成部位などの検討が必要であると考えられた。
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