研究課題/領域番号 |
16590901
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
内分泌学
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
神部 福司 名古屋大学, 環境医学研究所, 助教授 (00211871)
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研究分担者 |
妹尾 久雄 名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (40135380)
大森 幸子 名古屋大学, 環境医学研究所, 助手 (20233273)
服部 公彦 名古屋大学, 環境医学研究所, 助手 (90359745)
中川 光幸 三菱ウェルファーマ株式会社, 創薬基盤研究所長
NAKAGAWA Mitsuhide Mitsubishi Pharma Corporation, So-ken Kiban Laboratory, Chief
中川 幸光 三菱ウェルファーマ株式会社, 創薬基盤研究所, 所長
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2005年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2004年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | DHCR24 / コレステロール / インスリン / アポトーシス / カベオラ / Akt / Bad / caveolin / hDiminuto / MEF |
研究概要 |
我々がコルチゾル産生副腎腺腫から同定したDHCR24は、抗アポトーシス蛋白であると共にコレステロール生合成を司る酵素である。本研究ではDHCR24ノックアウトマウスの胎仔繊維芽細胞(KO-MEF)を用いて、コレステロール生合成の欠如が細胞の増殖に及ぼす影響を検討した。増殖をWST-1法で検討したところ、胎仔牛血清(FBS)存在下でのKO-MEFの増殖は野生型と顕著な差を認めなかった。しかしながら、FBSを除去するとKO-MEFにおいて多数のアポトーシス細胞がTUNEL法により検出された。インスリン等の増殖因子はAktを活性化し、Badのリン酸化を介してアポトーシスを抑制する。FBS除去後のAkt、Badのリン酸化を経時的に検討すると、KO-MEFでは速やかなAkt、Badの脱リン酸化が観察された。また、細胞膜のステロール含量の著明な低下が認められた。カベオラ(caveolae)は、コレステロールに富む細胞膜マイクロドメインであるり、構造タンパクとしてcaveolin-1を含む。ショ糖勾配遠心法でKO-MEFからカベオラ分画を調製しインスリン受容体(IR)とcaveolin-1の局在を検討すると、野生型MEFではIRは主にカベオラ分画に検出され、MEFにおいてIRはカベオラに存在することが示された。一方、KO-MEFではカベオラ分画のIRとcaveolin-1が著明に減少し、カベオラ構造の破壊が示唆された。Plasma membrane sheetsを調製し細胞膜上のIRとcaveolin-1の局在を検討すると、KO MEFではcaveolin-1とIRの蛍光シグナルの強度は低下し、その分布パターンの重なりも減少した。そこで、こうした異常がインスリン作用に与える影響を検討した。野生型MEFではインスリンによりIRS-1(Tyr-608)、Akt (Thr-308,Ser-473)、Bad (Ser-136)が速やかにリン酸化された。しかしながら、KO MEFではそれらのリン酸化は有意に低下していた。KO MEFへコレステロールを供給すると、インスリン作用の減弱は消失した。以上の結果から、カベオラに存在するIRが機能的であり、コレステロール低下によるIRのカベオラからの離脱はインスリン作用不全をもたらすことが示された。次に、KO MEFを血清除去後コレステロール存在下で培養したところ、KO MEFのアポトーシスは著明に抑制され、Akt活性の減少も有意に抑制された。本研究により、インスリンによるAkt-Badを含む細胞生存カスケードの活性化に、IRがカベオラに存在することが重要であること、細胞内コレステロールはそうしたカベオラ構造の維持に重要であることが示された。また、DHCR24はコレステロール合成を介してAkt-Badを含む細胞生存カスケードの機能維持に重要であることが明らかになった。
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