研究課題/領域番号 |
16590945
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
血液内科学
|
研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
長井 一浩 長崎大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (30304942)
|
研究分担者 |
對馬 秀樹 長崎大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (70359959)
宮崎 泰司 長崎大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (40304943)
朝長 万左男 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (40100854)
|
研究期間 (年度) |
2004 – 2005
|
研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
|
配分額 *注記 |
2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
2005年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2004年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
|
キーワード | side population cell / bone marrow / stem cell / hematopoiesis / myelodysplastic syndrome / aplastic anemia / PNH / ABCG2 / paroxysmal nocturnal hemoglobinemia / myelod splastic syndrome |
研究概要 |
骨髄異形成症候群(MDS)24例、再生不良性貧血(AA)5例、発作性夜間血色素尿症(PNH)3例を対象として、side population(SP)細胞およびその責任分子とされるABCG2蛋白発現の解析を行った。MDS全体では健常人骨髄、AML、PNHとの有意差はなかったが、AAや、G-CSF刺激末梢血単核細胞に対して有意に高頻度であった。MDSの病型による内訳は、RA 0〜1.41%、RARS 0.03〜0.57%、RCMD 0.11〜2.04%、RAEB I 1.18および2.63%、RAEBII 3.11%であった。クローナルな染色体異常を保有するMDSの3症例(trisomy8陽性2症例およびmonosomy7の1症例)に関して、ソーティングしたSP細胞画分のFISH解析を行ったところ、それぞれ対応する症例と同様の異常を検出した。ABCG2発現を指標とした解析では、SP細胞画分と比較して症例間あるいは反復する同一サンプルの検討における計測値のばらつきが少なく、より安定した結果が得られた。MDSおよびPNH症例におけるSP細胞画分は、.HSCマーカーと考えられているCD34やCD133陽性細胞集団と高頻度にオーバーラップしていた。一方、CD19、CD3、CD33等の分化マーカーの陽性頻度は有意に低かった。SP細胞およびABCG2陽性細胞画分におけるLTC-ICおよびCAFCの頻度を検討した。AA症例は検討例数が少ないもののLTC-IC、CAFCともに著減していると考えられた。一方MDSやPNHでは、症例によって頻度の差が大きいものの健常人骨髄サンプルと比較して全体に低頻度である傾向が認められた。また、MDS症例サンプルのCAFCアッセイにおいて観察されたCAの形成状態は、健常人のCAに比べ構成する細胞数が少なく小規模のものが主体であった。さらに、CAの維持期間が、健常人サンプルでは5週〜7週に亘るのに比較して、MDSサンプルでは3週〜5週と比較的短期間に留まり、この現象は、各種増殖因子のいずれの組み合わせにおいても観察された。MDS/AA/PMHの病的幹細胞を正常幹細胞と比較して、異なる増殖・生存・分化の制御機構を有することが示唆された。今後も、本研究で展開している新たな幹細胞マーカーを有する細胞集団を対象とした解析を行うことで、異常クローンが正常クローンの存在を凌駕して病態を形成するメカニズムを解明し、これら病態間の本質的差異に迫り、かつ治療困難なこれら原発性造血不全症の新しい治療戦略構築に有用な情報を探索する必要がある。
|