研究概要 |
関節リウマチ(以下RA)における抗環状シトルリン化ペプチド抗体(抗CCP抗体)の臨床的意義について、1)抗CCP抗体のRAでの疾患特異性の確認、2)RAの疾患活動性との関連、3)抗CCP抗体価の連続的な測定の意義、について検討した。 まず、1)については従来の報告どおり、特異性90%以上、感受性80%以上であることを我々のRA患者において確認した。 2)については横断的ならびに縦断的に検討を加えた。横断的にはCRP, ESR, lgM-RFとの相関は指摘できなかった。また5年以上抗CCP抗体と疾患活動性を追跡した結果では、疾患活動性と関連する患者のいる一方で、まったく関連性が見られずに経過した患者もあった。従って、いわゆる古典的な血清学的マーカーと抗CCP抗体価との関連は症例によって様々であり必ずしも相関しないと考えられた。 3)については長期にわたる連続的な測定結果と関節破壊の進展との関連について検討した。従来、抗CCP抗体は、One Pointの値でその予後について推測可能であるとの報告が多かった。しかしながら我々の検討では、当初、抗CCP抗体が高値でありながら経過とともに低下、陰性化した症例があった。この例では関節破壊の進行が乏しく持続高値を呈した群では関節破壊が進行していた。 以上から、抗CCP抗体はRAの診断に加えて長期予後を推測する上で重要なマーカーであり、さらに連続的な測定結果を考慮することによって、長期予後をさらに適切に判断しうると考えられた。
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