研究概要 |
(1)新生児CD8+T細胞はCD244陰性であるのに対し,成人CD8+T細胞は約40-50%がCD244陽性であり,加齢に伴いCD244陽性比率は増加した.CD28,CD62L発現を3重解析するとCD244陰性細胞は全てCD28陽性CD62L陽性であるのに対し,CD244陽性細胞はCD28,CD62L陽性,陰性の亜群が存在した.伝染性単核球症(IM)や麻疹のCD8+T細胞ではCD244+細胞の増加が顕かで,特にCD28,CD62L陽性CD244陽性CD8+T細胞の増加が著明であった. (2)CD244陽性,陰性CD8+T細胞亜群における表面抗原,細胞内傷害性蛋白を解析した.CD244-細胞はどの表面分子発現からもナイーブ細胞として表面形質を示し,パーフォリン,グランザイムB, TIA-1発現も認めなかった.一方,CD244陽性細胞は,メモリー細胞表面形質を呈した. (3)Naive T細胞ではTCRレパートワは多様性に富むがmemory-T細胞では限られたT細胞レパートワであることが予想され,TCR CDR3 spectrum解析をCD244陽性、陰性各細胞亜群において解析した.CD244陰性細胞は全てのTCRVβでガウス分布を呈したが,CD244陽性分画は多くのTCRVβでskewedパターンを示した.また,CD28陽性細胞より陰性細胞で,CD62L陽性細胞より陰性細胞で複雑指数は低下していた。 (4)CD244陽性CD8+T細胞への生体内でのCD244陰性細胞から陽性細胞への転換をin vitroにてCD244-CD8+T細胞を刺激培養して確認した.CD244発現はCD3刺激にて培養早期から増強した.一方,CD28,CD62L-分画への転換は2-3週間かかり緩除に進行した. (5)機能的分化における細胞分裂の程度を定量化するため、各細胞分画におけるTREC含有量を測定したところ、CD244陰性細胞は最も多くTREC量が多く、CD28CD62L陽性CD244陽性細胞、CD28/CD62L陰性CD244陽性細胞分画の順にTREC含有量は減少した。
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