研究課題
基盤研究(C)
共同研者である烏山教授の樹立したハプテン(TNP)特異的IgEの遺伝子を導入したマウスにおける第3相反応の機序を解析した。最近、TNP-IgEトランスジェニック(Tg)マウスでは、惹起後3〜7日後に慢性アレルギー性皮膚炎症反応(以下第3相反応)を生じることが報告されている。この反応は、好酸球などの強い細胞浸潤と表皮肥厚が観察され、アトピー性皮膚炎のモデルマウスとして知られている。我々はTNP-IgE-Tgマウスで恒常的にMDC(Macrophage-derived chemokine)が惹起する前に皮膚組織中、血清中で高いことを見出し、TNP-IgE-TgマウスでのMDCの産生機構と生物学的意義を検討した。血中、組織中におけるMDC値の上昇はTNP-IgE-Tgマウスだけでなく、BALB/cマウスにTNP-IgEを静注することでも誘導することができ、この反応はFcR〓(-/-)マウスではみられないことからFc〓RIを介した反応と考えられた。MDCの産生細胞を検討したところ、マウスより採取した骨髄細胞はmonomeric TNP-IgE添加によりin vitroでMDCを産生した。さらに骨髄細胞から誘導した好塩基球様細胞を用いて同様の実験を行ったところ顕著なMDC産生が確認された。このmonomeric IgE誘導性MDC産生はFcR〓(-/-)マウス由来の好塩基球様細胞ではみられず、またOVA特異的IgG添加にても誘導されなかった。一方、骨髄由来の肥満細胞はIgE添加によりMDCを産生したがその産生量は好塩基球様細胞に比して極めて少なかった。最後にTNP-IgE-Tgマウスに誘導される第3相反応におけるMDCの役割を解析するため、惹起誘導前に抗MDC中和抗体をin vivoで投与することによってIgE依存性の第3相反応の変化を観察したところ著明な耳介腫脹の減弱がみられた。以上のことから、高IgE血症は好塩基球から抗原非存在下においてMDC産生を誘導させ、慢性アレルギー性皮膚炎の誘導に関与していることが明らかになった。将来的にMDCを標的とした治療法の可能性が示唆された。
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