研究概要 |
我々は世界に先駆けて新生マウス皮下にサイトカイン,特にTGF-β及びCTGFを連続注入することにより,サイトカイン誘導性皮膚線維化マウスモデルを確立した。 このモデルにおいてはTGF-βが線維化を誘導し,CTGFは線維化を維持するというプロセスがin vivoにおいて確認されたが,両者の線維化誘導の役割の詳細は明らかにされていない。 そこで平成17年度は,in vitroの皮膚線維芽細胞培養系を用いてその機序を明らかにすることを試みた。 (1)TGF-βは単独でコラーゲン遺伝子を活性化する。 (2)CTGFは単独ではコラーゲン遺伝子を活性化しない。 (3)TGF-β単独でコラーゲン遺伝子は約1.5倍活性化されるのに対して,TGF-β及びCTGFを加えると約2倍活性化されるのに対して,TGF-β及びCTGFを加えると約2倍の活性がみられる。 (4)TGF-β刺激を受けた皮膚線維芽細胞においては,c-mycの発現の低下がみられ,細胞増殖の低下もみられる。 (5)TGF-β+CTGF刺激を受けた皮膚線維芽細胞においては,TGF-β単独より更に高度なc-mycの低下がみられた。 (6)強皮症病変部由来線維芽細胞においては,逆にc-mycの上昇がみられ,TGF-β+CTGF刺激により,細胞上昇もみられた。 以上の所見は,強皮症病変部由来皮膚線維芽細胞自身にサイトカイン,特にTGF-β,CTGF共存下における両者に対する異常反応を有することが本症の病因となりうることが示された。
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