研究概要 |
プリオン病は正常プリオンが構造上変異を生じ、変異型プリオン(PrP)蛋白が蓄積することによって生じる変性疾患である。本疾患の伝播経路として樹状細胞によって担われていることが明らかにされ、濾胞樹状細胞によって取り込まれ、組織への伝盤が行なわれることが明らかにされている。また濾胞樹状細胞を介する経路はTNF-αを介することが明らかにされている。さらに皮膚を介する経路として皮膚における樹状細胞(ランゲルハンス細胞LC)の関与が推測されている。末梢血単球より単球由来樹状細胞(MoDC)を誘導し、採取したMoDCに対するプリオン蛋白のTNF-α産生に及ぼす影響について検討した。プリオン蛋白は、末梢血樹状細胞のサイトカイン(TNF-α)発現亢進が誘導された(295.8pg/ml vs 148.7pg/ml(無刺激))。このTNF-α産生はcurcumin,LY294002,wortmanninによって抑制された(各々26.2pg/ml,10.9pg/ml,132.4pg/ml)。Immunoblot法によってLY294002,wortmanninは1kBのリン酸化を抑制した。以上から、正常型プリオンはMoDCsのTNF-α産生を誘導し、LY294402のシグナルを介することが明らかになった。
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