研究課題/領域番号 |
16591122
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
皮膚科学
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研究機関 | 藤田保健衛生大学 |
研究代表者 |
伊藤 祥輔 藤田保健衛生大学, 衛生学部, 教授 (70121431)
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研究分担者 |
若松 一雅 藤田保健衛生大学, 衛生学部, 教授 (80131259)
廣部 知久 (広部 知久) 放射線医学総合研究所, 放射線障害研究グループ, チームリーダー (10111238)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2005年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
2004年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | メラノサイト / メラノブラスト / ケラチノサイト / ピンクアイドダイリューション / スレーティー / レセッシブ・イェロー / アグチ / メラニン / ブラック / メラノソーム / 無血清培養 / MC1R / UVB / DNA損傷 |
研究概要 |
マウスの色素遺伝子、ピンクアイドダイリューション(p)を持つ(p/p)マウス由来の培養表皮メラノブラストは野生型に比べミトコンドリアが多い。ミトコンドリアが関係するアポトーシスに深い関わりのあるCaspase-9やBaxの阻害剤を加えて培養したところメラノブラストとメラノサイトの数が増加した。これらのことより、p/pマウスではメラノブラスト・メラノサイトの増殖にミトコンドリアが関係したアポトーシスが関与している可能性が示唆された。また、スレーティー(slt/slt)マウスの表皮メラノサイトの増殖能は野生型と同等であったが、分化能が低かった。メラノソームの形態も異常であった。メラノサイトの分化に重要なチロシナーゼの活性やチロシナーゼ関連タンパク質2の発現が弱く、黄色メラニンの量は変わらなかったものの、黒色メラニンの量が少なかった。また、レセッシブ・イェロー(e/e)マウスの新生児の表皮・真皮におけるユーメラニン量は野生型に比べて著しく少なかった。一方、e/eマウスの新生児の表皮と真皮におけるフェオメラニン量は野生型に比べて著しく多かった。同様に、5週令のe/eマウスの毛のユーメラニン量は野生型に比べて著しく少なく、フェオメラニン量は著しく多かった。驚くべきことに、雌のe/eマウスの毛のユーメラニン・フェオメラニン量は雄に比べて多かった。このような雌雄の差は野生型では見られなかった。レセッシブ・イェロー遺伝子は性ホルモンとの相互作用によりメラニン合成を制御している可能性が考えられる。また、アグチ遺伝子は生後0.5日から真皮でのみ発現が見られ、3.5日で最大になることがわかった。この真皮でのアグチ遺伝子の発現が表皮のメラノサイトにおけるフェオメラニン形成に関与していると考えられる。 初代ヒト培養メラノサイト60検体(新生児51、成人9)のメラニンを測定し、メラニン量とチロシナーゼ活性およびそのタンパク量、さらにMC1R遺伝子との相関を調べた。メラノサイトは光学顕微鏡および提供者の皮膚の色から4つの表現系(L、L+、D、D+)に分類した。その結果、4つの表現系で全メラニン量(TM)およびユーメラニン(EM>はL、L+、D、D+の順に増加した。EMおよびフェオメラニン量(PM)を足した含量と分光学的に測定したTM量はよい相関を示した。また、それは、チロシナーゼの活性とそのタンパク量ともよい相関を示した。しかしながら、EM/PMの対数値はMC1R遺伝子と相関しなかった。以上の結果は、1)EM量は視覚的な表現系とよく相関した。2)薄いメラノサイトは黒いメラノサイトに比べ、フェオメラニックである。3)成人のメラノサイトでは、EM量はAfrican-American>Indian>Caucasianの順になった。4)MC1Rの機能欠損変異は、必ずしも培養メラノサイトの表現系を変えないということがわかった。
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