研究概要 |
本研究では、ADHDおよびアスペルガー障害の評価用調査票を作成し、これを思春期後期から成人期の精神科患者および健常対照者に配布・回収し、その症候論的解析と因子構造の確認を行なった。今回の研究の対象とした者は5つの施設からきている。まず正常対照群としてA病院職員(94名)、B病院職員(62名)、Cセンター健診受診者(74名)を扱った。次に精神科患者群としてD病院外来患者(31名)、E診療所外来患者(148名)を扱った。 調査票A : Biedermanが作成したADHD Symptoms Checklistを著者らが原著者より翻訳・使用許可を取り、福島県立医科大学神経精神科において和訳した。20項目で、各項目は4件法(0点〜3点)で評価する。 調査票B : ADHDの診断基準や高頻度に見られるとされる症状を参考に著者が独自に作成したアスペルガー症状評価表。36項目で、各項目は4件法(0点〜3点)で評価する。 調査票C:アスペルガー障害の診断基準や高頻度に見られるとされる症状を参考に著者が独自に作成したアスペルガー症状評価表。36項目で、各項目は4件法(0点〜3点)で評価する。 今回の調査では以下のことが明らかとなった。 1)ADHD調査票の得点は健常対照群に比して患者群で高得点であった。 2)ADHD調査票の項目は3因子構造を示した。それぞれattention deficit, impulsivity, hyperactivityと解釈できた。 3)ADHD調査票の各下位尺度得点は、患者群のなかではADHDで最も高値であった。 4)アスペルガー障害調査票の得点は健常対照群に比して患者群で高得点であった。 5)アスペルガー障害調査票の項目は1因子構造を示した。 6)アスペルガー障害調査票の得点は、患者群のなかではアスペルガー障害で最も高値であった。
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