研究概要 |
北里大学病院,北里大学東病院,昭和大学病院,昭和大学東病院,昭和大学烏山病院に勤務する看護師(1800名)を対象に下記内容の調査を行った。(コホート研究) (調査の内容) (1)基本属性(性,年齢),生活状況(睡眠,飲酒習慣,居住環境),勤務状況(所属,勤務年数,交替勤務の状況など) (2)対象者が最近6ヵ月間に経験したインシデントとアクシデントの頻度 (3)ナーシングストレス尺度:看護師のストレッサーを測定(34項目) (4)セルフエフィカシー尺度:仕事および個人生活における自己効力感を測定(24項目) (5)努力-報酬不均衡モデル:主観的努力感と報酬(経済的報酬・心理的報酬・キャリア面での報酬)とのバランスを測定(23項目) (6)Hospital Anxiety Depression Scale(HADS):抑うつおよび不安状態を測定(14項目) 半年間のニアミスの回数および有害事象の回数を目的変数としたlogistic回帰分析の結果、看護師の抑うつが業務中の注意力を低下させインシデント・アクシデントの有意な原因となることが示された。看護師の抑うつは自己効力感やオーバーコミットメント、周囲からのサポート、業務上のストレスと有意な関連を示した。本研究はこれまで行われてこなかった医療事故とヒューマンエラーについての根本原因分析研究であり、今後看護師によるヒューマンエラーを防止するために抑うつ予防対策が重要であることが示された。尚本研究については現在英語論文を作成し投稿中である。
|