研究課題
基盤研究(C)
リチウムは双極性障害の治療に使われる薬剤であり、患者の躁病相、うつ病相にみられる極端な気分の「ふれ」を治療および予防できる。その作用機序については未だ一致した見解はないが、Berridgeらの「イノシトール枯渇仮説」は提唱以来20年近く経った現在でも最もよく信じられている。この仮説は、リチウムが細胞内代謝物質のイノシトールモノリン酸を脱リン酸化する酵素IMPaseを直接阻害し、細胞内のイノシトールを枯渇させることと薬理作用が関連するとするものである。ヒトのIMPaseをコードする遺伝子としてIMPA1のほかIMPA2が知られている。IMPA2は遺伝統計学的に双極性障害や統合失調症といった精神疾患に加え、熱性けいれんとの関連が示されているものの、その遺伝子産物の構造がIMPA1と非常に相同生が高いという以外、全く生化学的情報は存在しなかった。そこで我々は、主に組み替えIMPA2を用いて生化学的解析を行い以下のことを明らかにした。1)IMPA2はIMPA1同様Mg依存的IMPase活性をもつ。2)しかしながらその酵素活性はIMPA1と比較して極めて微弱である。3)IMPA2はIMPA1と比較して高いpH、Mgイオン濃度を好む。4)IMPA2はIMPA1同様ヘテロニ量体を作るがIMPA1とのヘテロニ量体は作らない。5)IMPA2はIMPA1と比較してリチウムの感受性はあるものの微弱である。以上のようにIMPA2は、IMPA1と比較して、異なる酵素学的性質をもつことが明らかになった。このことは、IMPA1とIMPA2が生化学的に細胞内で異なる局面で作用していることを示唆するものである。
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