研究概要 |
カテゴリー判定は一般的な癌検診で用いられている「異常なし,要経過観察,要受診,要精検,要治療」という形式の判定と相容れないものではないが,判定方法に習熟する必要はあり,直感的には理解しにくいものである。無用な再検査を増加させる要因となっているカテゴリー3の取り扱いについては,少なくとも,次に何をすべきなのか,もっと具体的に明確にする判定を盛り込むべきである。従来の「異常なし,要経過観察,要受診,要精検,要治療」という形式の判定は,非常に単純明快で,受診者にも分かりやすく,安易に排除すべきではない。一方,読影実験では,カテゴリー判定を行う際,読影者は独自の判断スケールを持っていることが明確になった。特に専門家集団では,各自が非常に強固な独自のスケールもっており,典型的な症例であっても判断が完全に一致することは極めて稀であることが示唆された。これはどのような新しい判定方法が導入されようとも,強固に持ち続ける読影者の癖,性格といってもよいだろう。現状のJABTSのカテゴリー判定で提案されている25%刻みのスケールは平均的な判断スケールに一致しているので,目安にすることは可能といえる。しかし,判定者の判断スケールの独自性が非常に強いことも事実であり,これが判定のばらつきの根本原因と理解される。 モニタ診断への移行は更に検討を要するが,少なくとも従来いわれているような厳しい規制が必要という点には疑問がある。現在使用されている高輝度・高精細の医用画像観察モニタであれば,周囲の照明で診断能が影響されにくいことが判明した。また,マンモグラフィでもCRTよりも液晶モニタを使用することに妥当性がある。
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