研究課題
基盤研究(C)
紡錘体形成チェックポイント(spindle assembly checkpoint)機構は全ての染色体が動原体を介して紡錘体と結合するまで細胞分裂期後期の開始を停止させる機構であり、娘細胞がaneuploid cellとして分裂増殖するのを抑制している。最近、さまざまな腫瘍での紡錘体形成チェックポイント遺伝子発現が研究され、特に胃癌・大腸癌におけるこれらのチェックポイント遺伝子発現は腫瘍増殖能と相関し、臨床的にもリンパ節転移や無再発生存率に関係するとの報告がある。甲状腺腫瘍における報告はほとんどなく、その発現と臨床病理を検討した。Follicular adenoma(FA)、follicular carcinoma(FTC)、papillary carcinoma(PTC)、anaplastic carchoma(ATC)、nomal thyroid tissues(NT)で紡錘体形成チェックポイント遺伝子であるhBUB1,hBUBR1,hBUB3,hMAD2の発現をreal-time quantitative RT-PCRを用いて測定した。hBUB3を除き分化癌(DTC:PTCとFTC)に比べて未分化癌(ATC)で有意に高く、hBUBR1とhMAD2の発現はnon-advanced DTCに比べてadvanced DTCで有意に高かった。これらの遺伝子発現は、甲状腺未分化癌あるいは進行性の甲状腺分化癌で有意に高く、thyroid tumor aggressivenessを反映すると考えられた。しかし、hTERT発現や Ki67ラベリングインデックスとは明らかな相関はなかった。乳癌などの細胞株における微小管阻害剤の投与と濃度別の遺伝子発現では一定の傾向が認められなかったが、臨床では高発現の未分化癌で微小管阻害剤の抗腫瘍効果が認められた。この結果は微小管阻害剤の治療対象を示唆する上で重要と考えられた。これらの遺伝子発現とcmcer behaviorとの関係をさらに明らかにしていきたい。
すべて 2008
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件)
ANTICANCER RESEARCH 28
ページ: 139-144
Anticancer Res 28(1A)
ページ: 139-44