研究概要 |
我々は、様々なヒト乳癌細胞でStat5bのチロシン残基が持続的にリン酸化(活性化)していること、さらにエストロゲンレセプター陽性ヒト乳癌細胞T47Dにおいて、Stat5を抑制することによりアポトーシスが誘導されることを見出した(Yamashita H, et al. Oncogene,2003)。また、T47Dヒト乳癌細胞を用いて、in vitroおよびin vivoでStat5の機能を抑制することによるアポトーシス誘導のメカニズムを検討し報告した(Yamashita H, et al. Cancer Science,2004)。本研究により、臨床材料である乳癌組織におけるStat5の発現を免疫組織化学染色により517例において検討し、臨床病理学的因子との相関の解析を行った。その結果、Stat5の発現はエストロゲンレセプター、プロゲステロンレセプターの発現と正相関すること(それぞれP=0.02、P=0.026)、エストロゲンレセプター陽性乳癌においてStat5発現陽性例は有意に予後良好であること(P=0.0009)を見出した。また、再発時の一次治療としてホルモン療法を単独で施行した70例において、乳癌組織におけるStat5の発現陽性例は有意にホルモン療法が有効であること(P=0.04)、Stat5発現陽性例は再発後の予後が有意に良好であること(P=0.0003)を見出した(Yamashita H, et al. Endocr-Relat Cancer, in press)。
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