研究概要 |
膵癌においてProgrammed Death-1(PD-1) Ligand-1 (PD-L1)およびLigand-2 (PD-L2)の発現,さらにTWEAK-Fn14の発現について各モノクロナール抗体を用いて,膵臓切除標本において免疫染色を行った.その結果,膵癌腫瘍に各々の発現を認めた.したがって,これらの分子が膵癌の発生および増殖に何らかの影響を及ぼしている可能性が示唆された.すなわち,PD-L1,PD-L2の発現は腫瘍応答性の免疫担当細胞に機能不全を起こさせている可能性が示唆された.これまでの報告では,腫瘍浸潤T細胞にアポトーシスが誘導されることが明らかとなっているが,膵癌においてもその可能性があり,今後さらに機序の解明を行っていく予定である.さらにTEEAK-Fn14の発現は,腫瘍細胞の増殖さらには血管新生に関与している可能性が示唆された.これまでに血管新生が膵癌切除後の予後と有意に関与することをわれわれは報告してきているが,さらにTweak-Fn14もこのシステムに関与している可能性がある.また,各モノクロナール抗体を用いて,in vitroおよびin vivoにおける膵癌増殖,転移抑制実験を行い,有意な抗腫瘍効果を確認した.今後さらに研究を進行し,機序を明らかとし,臨床応用の可能性について詳細に検討する予定である.
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