研究概要 |
(目的) 当該研究課題では大腸癌患者のリンパ節・門脈血・末梢血中の微小残存病変を,p53, K-ras, APCの遺伝子変異を標的にし、定量的評価の可能なMGB ASO RQ-PCR assayを開発する。さらに,本assayによって算出した転移リンパ節の中の腫瘍細胞数と,近年外科領域で広く行われるようになってきた,RIを用いたナビゲーションサージャリーにおける術中リンパ節転移の診断結果との対比を行い,各種RIの種類や投与方法の妥当性に関しても検討する. (方法) 1.32個の大腸癌培養細胞株を用い,p53, K-ras, APCの変異のhot spotを増幅する. 2.増幅したPCR断片をpGEM-T easy vectorに挿入後,塩基配列を決定し,RQ-PCR用の標準物として用いる. 3.RQ-PCR assayの感度を,各細胞株でdilution methodを用いて決定する. 4.リンパ節,末梢血,門脈血について,ABI prism 7700(現有)を用いて,RQ-PCRを行い定量評価する. (結果) MGB技術を用いたk-ras mutationの判定方法を開発した.本法の感度は10-^5程度であった.false-positive, false-negativeのない優れた方法であった.一例のリンパ節でmicrometasitasisを検出し得た.PrimerにMGB技術を応用したASO RQ-PCR法の開発には,MGB技術の特許に関する障害があり断念せざるを得なかった.K-ras, APCについは変異のバリエーションが多く,コストの面で問題が生じ断念せざるを得なかった. (考案) MGB技術を用いたk-ras mutationの判別法は,現段階で臨床応用可能な方法であり,内視鏡手術時の査方法としても応用可能と考えられた.
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