研究概要 |
[方法]当科で樹立したヒト食道扁平上皮癌培養細胞株(KE-10)を用いて以下の検討を行った. 1)connexin(Cx)遺伝子,蛋白の発現:RT-PCR, Western blot analysisにて発現を調べた. 2)培養細胞株へのCx遺伝子の導入:Cx32遺伝子を導入した. 3)ギャップ結合を介する細胞間相互作用(gap junctional intercellular communication,以下GJICと略記)の測定:dye transfer assayを用いてGJICの程度をCx遺伝子導入前後で比較した. 4)制癌剤感受性試験:制癌剤docetaxelの感受性をCx遺伝子導入前後で比較した. 5)GJIC阻害剤による感受性の変化. [結果]食道癌培養細胞株KE-10はいずれのCxとMDR遺伝子ならびに蛋白の発現を認めず,dye transfer assayにてもGJICも全く認めなかった.そこで同細胞株にconnexin (Cx)32遺伝子をtransfectした.Cx発現細胞は良好なGJICを発揮し,親細胞に比べ40%以上の殺細胞効果増強を認めた.またアポトーシスの亢進も認めた.次にGJIC阻害剤を併用すると,先に認めたCx発現細胞における感受性増強効果は20%以下に減弱した. [結語]食道癌のdocetaxel感受性には,GJICが深く関与していることが示唆された.
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