研究概要 |
基礎研究として細胞株を用いプロテアソーム阻害薬bertezomibに対する感受性を検討した。各種ヒト癌細胞株を用いて、感受性をin vitroにて調べた(MTT, cell cycle analysis等、各種apoptosis assay)。免疫effector細胞に対する感受性の影響についても検討した。その結果、BortezomibとTRAILの単剤よりも両者併用することで,殆どの癌細胞株により強い相乗的抗腫瘍効果が見られた.特に両者併用によりTRAIL抵抗性株にも強い細胞傷害性を誘導することが見られた.BortezomibのTRAIL増感作用はmitochondria pathwayを介して関与する可能性も認められた。一方、対象総症例数は19例(食道:6;胃:3;大腸:3;膵:2;乳癌:2;肺:3)に対し、患者末血中活性化リンパ球の性状や細胞傷害性を:Flow cytometryや<^51>Cr release assay等にて評価し,臨床効果及び副作用はJCOG-CTC基準にて判定した。治療前と治療3回目後の患者血清のサイトカイン産生はE:LISA法で解析した.2週間混合培養により誘導リンパ球の各分画(%)はLAK, CTL precursor(CD3^+CD8^+):41.4土28.9,CD3+CD4+T細胞:65.8土19.3;NK(CD56^+CD16^+):16.6±15.5,DC(CD86^+CD83^+):36.4土24.3であった.臨床的検討では、食道癌、胃大腸癌、肺癌及び乳癌などの固形癌において自己癌特異的CTL細胞を含む活性化リンパ球(CTL, NK, LAK)による細胞移入療法と標準的化学療法との併用は安全に実施でき,有害事象が増やすことなく良好な臨床効果が得られた.また、基礎実験などの解析による癌活性化リンパ球細胞は標準抗癌薬(SI, Gemcitabineなど)や分子標的薬(Trastuzumab)及びプロテアソーム阻害薬との相乗(相加)効果が示唆され、その臨床的併用することにより難治性癌患者のQOLが損なうことがなく、従来の化学療法に更なる上乗せ効果が得られる可能性も考えられた。
|