研究概要 |
16年度は以下のような実験を行った。 1.Piroxicamとニューキノロン系抗菌剤の濃度調整:1)Piroxicam, 2)LFLX, 3)SPFX, 4)CPFX, 5)GFLXの計5剤をすべて0.2mMに調整。 2.超音波照射実験:5.25x10^5/0.7ml個の細胞浮遊液と上記の5種の薬剤液を混じて、共振周波数2MHzで1.5W/2.0W/3Wで30秒間照射し腫瘍細胞の生存率を算出した。 3.活性酸素抑制実験:L-histidine(0.2M)とD-mannitol(0.2M)を添加し、同様に超音波照射を行い腫瘍細胞の生存率を検討した。 以上の検討で、SPFXがpiroxicamと同程度の抗腫瘍効果を有する音響感受性物質であり、超音波照射によりSPFXは一重項酸素を発生させ抗腫瘍効果を発揮し、その効果は濃度依存性である、と結論した。 17年度は昨年度の研究で有用性が判明したニューキノロン系抗菌剤4剤のうち、もっとも有用性が期待されるSPFXを音響感受性物質とした時の抗腫瘍効果をin vivoで下記の手順により検討した。 1.ニューキノロン系薬剤の濃度の調整 2.マウス背部Air pouchの作成 3.超音波の至適照射条件の検討 Air pouch内へSarcoma180細胞1.5x10^7個と濃度を調整したニューキノロン系抗菌剤を混じて注入し、周波数2MHz、出力5W/10Wの2種類で120秒間超音波を照射した。 4.結果 経時的に皮膚の色調、腫瘍の増大を観察したところ、皮膚の障害は生じなかったが、腫瘍の増大は薬剤の濃度によらず、いずれでもほぼ同等の腫瘍の増殖が観察された。組織学的にも抗腫瘍効果は見られず、生存率にも優位差は見られなかった。以上からSparfloxacin存在下で超音波照射し抗腫瘍効果を得るには、さらに種々の改良が必要と判断された。
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