研究概要 |
AG-041RはCCK2/gastrin受容体拮抗薬で抗潰瘍薬として開発されたが,ラットへの経口過剰投与で全身の軟骨の過形成を生じることが判明している成長因子である. 1;第一の目的は,この新規の薬剤の関節軟骨欠損への局所投与方法を開発することである. AG-041Rと種々のPL(G)Aを混合しo/wエマルジョンを作成し,溶媒蒸発法にて種々のAG-041Rの含有量のPL(G)A微粒子を作成,in vivoでの除放試験を行った.日本白色家兎の両大腿骨膝蓋溝に直径5mmの軟骨全層欠損を作成し,欠損モデルとした.微粒子を豚腱由来I型コラーゲンゲルに種々の量で混合し欠損に移植し,その後1,2,3,4週後に関節液,修復組織を採取しその中の薬物量を測定した.40%AG-041R含有PLA0020微粒子が目標とする4週間修復組織中に残存することが確認できた. 2;第二の目的は,実際にAG-041Rを投与し関節軟骨修復への有効性を検索し,軟骨の修復過程を組織学的,免疫組織学的に検討することである. 上記の欠損モデルに40%AG-041R含有PLA0020微粒子を0.5mgまたは2.5mgコラーゲンゲルに混合し投与した(AG群).反対側には薬剤を含まないPLAを同様に投与し(PLA群),1,2,3,4,8,12週後に屠殺し組織切片を作成した.トルイジンブルー染色で修復組織の評価を行い,またI型,II型コラーゲンの免疫染色にて修復組織の質の評価を行った.12週後の2.5mgAG群がPLA群に比べ有意差をもって修復組織が良好であった.修復組織はI型コラーゲン陰性,II型コラーゲン陽性の硝子軟骨だった. 今後の研究の展開として,AG-041Rの関節軟骨修復の詳細な機序を考察するためBrdU, TUNEL染色を行い修復組織中の細胞の増殖能,アポトーシスへの影響を調べる予定である.
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