研究課題/領域番号 |
16591488
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
整形外科学
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研究機関 | 天理大学 |
研究代表者 |
安田 義 天理大学, 体育学部, 教授 (40314223)
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研究分担者 |
中村 孝志 京都大学, 医学研究科, 教授 (10201675)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2005年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2004年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
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キーワード | 関節リウマチ / 酸化LDL / レクチン様酸化LDL受容体 / バイオマーカー / 関節破壊 / MMP / 関節液検査 / 関節軟骨 |
研究概要 |
関節リウマチ(RA)軟骨における酸化LDLとその受容体であるレクチン様酸化LDL受容体(LOX-1)の存在、酸化LDLとLOX-1が関節軟骨におけるMMP-3変生に及ぼす影響について調べた。(1)RA軟骨で大多数の細胞は酸化LDLとLOX-1陽性であったが、変形性関節症(OA)・健常軟骨では陽性細胞が見られなかった。(2)軟骨器官培養系に蛍光標識酸化LDLを投与すると、軟骨を浸潤して軟骨細胞と結合した。抗LOX-1抗体は酸化LDLと軟骨細胞との結合を阻害した。(3)軟骨器官培養系で、酸化LDLは培養軟骨のMMP-3産生を亢進させた。抗LOX-1抗体は酸化LDLによるMMP-3産生を抑制した。(4)酸化LDLは培養軟骨のLOX-1発現を亢進させた。今回の研究結果から、RA関節液中で増加している酸化LDLは関節軟骨に浸透して軟骨細胞LOX-1と結合しMMP-3変生を亢進させることが示唆された。RA関節軟骨で見られる酸化LDLとLOX-1の増加は軟骨破壊に関与している可能性があり、RAにおける関節破壊機序として過酸化脂質の関与も考えるべきである。 続いて、LOX-1の遊離型がRA患者関節液中で増加しているか否か、疾患マーカーとなる可能性について検討した。採取した膝関節液中の遊離型LOX-1(sLOX-1)濃度を、抗LOX-1抗体を用いたELISAで測定した。(1)sLOX-1濃度は、有意にRA膝関節液でsLOX-1濃度が上昇していた。(2)膝OA患者では、sLOX-1濃度はCRP、ESRいずれとも有意な相関は見られなかった。RA患者では、sLOX-1濃度はCRPと有意な相関を認めた。ESRとは有意な相関を認めなかった。今回の研究結果からRA関節液でsLOX-1が上昇することが判明した。RA関節内ではプロテアーゼ活性が亢進しているので、RA関節軟骨細胞で発現が亢進しているLOX-1が遊離型となり関節液中に増加したものと考えられる。したがって、sLOX-1の測定がRAとOAの鑑別に有用であり、またsLOX-1濃度が血清CRP値と有意に相関していたことからRAの活動性を予測する新しい有望な分子マーカーとなる可能性が裏付けられた。
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