研究概要 |
1.上気道の解剖学的因子に関する研究. (1)頭位および開口が上気道の開存性に与える影響 上気道開存性が頭位(頸部の屈曲・伸展),開口によって影響を受けるかを検討した.睡眠呼吸障害患者を対象に,全身麻酔・完全筋弛緩下では,頸部中間位・非開口に比較し,頸部伸展は上気道の開存性を増加させたが,頸部屈曲,開口はともに開存性を減少させた.本研究の成果はJ.AppL.Physiolに報告した. (2)Sniffing positionが上気道開存性に与える効果 Sniffing positionは気管挿管時における頭頸部の姿勢として推奨されており,その適用により喉頭鏡により行う喉頭展開の視野が改善されることが知られている.しかし,この姿勢が上気道の開存性に与える影響に関しては調べられていなかった.本研究ではSniffing positionが上気道開存性,とくに咽頭開存性に対しどのような効果があるかを検討した.対象は咽頭開存性が低下している閉塞性睡眠時無呼吸症候群患者12名,全身麻酔・完全筋弛緩下において咽頭開存性を内視鏡法を用い評価した.その結果,頭頸部の姿勢を中間位にするよりsniffing positionにするほうが,咽頭開存性が改善することが示された.本研究の成果は,Anesthesiologyに報告した. 2.上気道の神経学的因子に関する研究. (1)小児セボフルレン全身麻酔下における気道防御反射 0歳から12歳までの小児を対象に,その気道防御反射が全身麻酔薬セボフルレンによりどのような影響を受けるかを検討した.セボフルレンによる麻酔深度の増加は,咳・呼気反射・嚥下反射をより強く抑制するが,喉頭閉鎖反射・無呼吸反射・喉頭痙攣などに対する効果はより少なかった.年齢による影響は検出されなかった.本研究の成果はAnesthesia & Analgesiaに報告した.
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